socsocセレクション - 16年3月11日

華麗なジダンは泥にまみれたジダンになった

壮大なビジョンに基づいてチームを作っていくこと、かつてレアル・マドリードのレジェンド、ディ・ステファノやバルセロナのレジェンド、クライフが監督として手掛けたようなことは、もう現代サッカーでは許されなくなっている。現在の監督には時間がない。ジネディーヌ・ジダンとルイス・エンリケがやるべきことは日々、ほぼ週2回のペースで結果を出し続けること。トライ&エラーの余裕はない。ディ・ステファノやクライフは今なら志半ばで解任されていたかもしれない。

出典:WOWOW

そういう意味で、より切羽詰まった状態にいるのはジダンだろう。あのマルセイユルーレットに象徴される優雅なプレーをした彼が今、選手に叫んでいるのは「足を入れろ!」、「走れ!」である。選手ジダン本人が決して要求されなかったことを、監督ジダンは要求しているわけだ。彼の理想は、就任直後に見せたデポルティーボ・ラ・コルーニャ戦、スポルティング・ヒホン戦のようなテクニシャンたちがショートパスを繋ぐ華麗なサッカーだろう。だが、そんなことは許される状況ではなくなった。

イスコが走らずハメス・ロドリゲスが消えてしまうならカジミーロやルカス・バスケスを使うまで。スターもカンテラーノも関係ない。勝利にこだわる者だけを使っていく、という強い決意が感じられる。選手時代のジダンはマケレレに汗をかいてもらっていた。だが、トップ下タイプのテクニシャン、タイプ的には言わば“ミニジダン”ばかりを集めてしまった今のチームには、マケレレはいない。汗をかくのが苦手だったジダンが汗をかけ、と命じなければいけないのには、いびつな選手構成という事情もある。

リーグ優勝は遠ざかってもクラシコでの勝利という起死回生の一発は残っており、

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